ホワイトクリスマス⑫
宿で荷物を降ろし、いよいよスキーに出発。
久し振りの真っ白なゲレンデに胸が躍る。と言いたいところだけど、胸が躍っているのはロンとラッキー。
二人の楽しそうな姿を見て、今回私たちが用意してきた物が十分役立ちそうだと、足立先輩と目を合わせ笑う。
リュックから、それを取り出すと里沙ちゃんが“ナニナニ”と覗きに来て、驚いていた。
私たちが用意したのは、犬ゾリ用のハーネス。
それに、空気を入れて膨らませる子供用のバナナボート。
折角犬と行くのだから、一緒に遊ばなくては面白くないと足立先輩が提案した犬ゾリならぬ、犬引き氷上バナナボート。
もちろん犬たちに無理強いはしない。
ハーネスを付ける事には、何回か装着して慣れさせたので、問題はない。
問題は、喜んでバナナボートを引くかどうか。
私たちがセッティングしているのを、横でマリーが不安そうな顔で見ている。
ハーネスとバナナボートをロープで繋ぎ、手綱を握りしめてボートに乗り込む。
ゲレンデの一番端にある平坦な空き地に、緊張感が走る。
「GO!」
私の合図と共に、二人が勢いよくボートを引き、足立先輩が助走をつけるためボートを押す。
彼らは、いつからアイヌ犬になったのだろうと、思わせるくらい凄い勢いでボートを引くものだから、私はボートから振り落とされそうになった。
走り出すまでは、不安そうだったマリーも楽しそうに伴走している。
「ロー。ロー。ロー!」
あまりにも勢いが凄いので、減速をするように指示すると、素直に聞いてくれた。
「ライッターン。ライッターン」
今度は右に曲がるように言うと、これも指示通り動いてくれた。
一応ひかない状態で、教えてはいたものの、夢中になって言うことを聞かないと思っていたら、逆に夢中になれるからこそ良く言うことを聞くみたい。
「ウェイク。ウェイク」
「ストーップ」
最後は、足立先輩の前まで歩いて戻り、そして止る。
初めての犬ゾリを、指示通りに引いてくれるロンとラッキーの凄い能力に、足立先輩も私も感動して、もみくちゃにするほど二人を褒めた。
もちろん応援してくれたマリーも一緒に。
褒められると犬たちは更に覚えようとする。
次の足立先輩の時には、更にスムーズにボートを引くようになり、滑り終わって様子を見に来た皆に褒めてもらった。
君たちなら、立派にサンタさんのソリだって引けるね!





