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ホワイトクリスマス⑩

 高速道路を降りて一般道に入ると、道路の脇に所々白く積もった雪や、オーバーを着て走る子供たちの姿に寒い冬を感じ取ることが出来る。


 前を走る茂山さんの車は、諏訪湖サービスエリアから兄が運転を替わっているのに、私たちの車は未だ足立先輩が運転していた。


 茂山さんの車と同じように、諏訪湖を出るときに瑞希先輩と里沙ちゃんが運転を替わると言ったのに、足立先輩は頑としてこれを受け付けない。


 本当の理由は知らないけれど“この程度でハンドルを渡していたらトラック野郎になんてなれない”と豪語して笑わせる。


 運転免許を持っていない私は、替わってあげる事も出来なくて申し訳なく思っていると、足立先輩から“車掌”を任命された。


「車掌の仕事は、乗客の安全管理。ロン、マリー、ラッキーの三人の世話が出来るのは、千春だけだから頼んだよ!」


 そう言われて、快く引き受けた。


 前を走る兄の運転する車がスピードを落としたので、どうしたのかと思ったら、寂れた公園の駐車場に入って行く。


 私たちの車も、それに続く。


 車から出た途端、息が白い雲に変わる。


「うわ~さすがに寒いね!」


 一番に車から飛び出した里沙ちゃんが言う。


“今の言葉……それに、この景色……”


「向こうの山、真っ白だもん」


 里沙ちゃんの言葉に返すようにロンのリードを持った私が、お散歩道具の入ったトートバックを上げて山を指さすと、里沙ちゃんも気が付いて丸い目で見返してきた。


「やっぱり!?」


「そう、やっぱり」


 キャー!と歓喜の声を上げて抱き合った。


 公園の反対側に目を向けると、そこには美樹さんと兄が、笑ってこっちを見ていてくれた。


「なになに?やっぱりって」


 ロンとマリーを連れて歩いている足立先輩と、瑞希先輩が声を揃えて聞いてきた。


 私たちは二人に、ここが中学の時に初めてスキーに行ったときに途中で寄った公園だということを教えると、足立先輩が兄の事を「クールなくせに結構ロマンチストで、誰かさんに似ている」と笑う。


 公園の反対側では、端に積もった雪で遊ぶ伊藤君の隣で、向こうの雪山を眺めている江角君の後姿があった。

***参考***


中学の時に初めて行ったときに寄った公園⇒ロンと雪遊び①

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