ホワイトクリスマス⑥
結局伊藤君が言いだしたのは、里沙ちゃんと茂山さんの“最後の独身生活を祝うクリスマス・スキー旅行”
そしてコバが江角君に伝えたのは、何故かその部分から茂山さんだけを切り取ったもので、行けなくなった用事と言うのは一緒に行くはずの茂山さんのお店を手伝うため。
茂山さんみたいに優しい人が、一度誘った相手を、自分の身代わりにお店を手伝わせるわけがない。
では、なんでコバは江角君を誘い、お店を手伝うのだろう……。
私が考えている間に、江角君は珍しく驚いた顔をして笑いだした。
「そういうことなら、是非参加させてもらうよ。いいよな、鮎沢」
考え事をしている最中に、返事を求められて慌てて「うん!」と首を縦に大きく振ったら、動物みたいだと伊藤君に笑われ江角君もニコッとしてくれたので、私もニコッと返した。
一応、これで問題は解決したけれど、なにか腑に落ちない。
「伊藤君喉乾かない?江角君は?私、のどが渇いたからジュース買ってくるけれど、行ってくれれば一緒に買ってくるよ」
「あーじゃぁ俺缶コーヒー。ミルクの入った甘いやつね」
「江角君は?」
「俺はブラックだけど、鮎沢は何ジュースなの?」
決めていなかったから、直ぐに答えられなくて困った。
そういえば、大学でまだジュース買って飲んだことなかったかも知れない。
それでも一応「ミカンジュース」と一番無難なものを言うと。
「じゃあ、俺が買ってくるね。鮎沢はオレンジジュースで良い?」
「あっ、ハ・ハイッ」
言うなり、江角君は売店の方へ颯爽と走って行った。





