ホワイトクリスマス②
足立先輩がバイトの帰りに茂山さんのお店に寄ったとき、里沙ちゃんのほうからクリスマスに皆とどこかに行きたいと相談されたそうだ。
最初は、折角のクリスマスだから二人で過ごせばと乗り気ではなかったのだけれど、結婚したらお店の仕事も本気でしないといけないし、赤ちゃんが出来てしまうと暫くは、どこにも行けなくなる。それに、一番の悩みは、生活のリズムが皆と合わなくなっていく。
だから、この前の夏の海のときのように、最後のクリスマスを楽しみたい。
と言うことで、夏が海なら冬は山になったことを話してくれた。
里沙ちゃんがオッケーなら、私はもちろん行くと返事をした。
でも気になる事が、ふたつある。
ひとつ目は、里沙ちゃんが行きたいと言えば、茂山さんは許してくれるだろうけれど、クリスマスに一人残された茂山さんが可哀そうということ。
ふたつ目は、江角君がもし私とのクリスマスを楽しみにしてくれているとしたら、振ってしまうということ。
しかし、さすがは足立先輩だけのことはあって、そこのところもチャンと考えてあった。
それは、茂山さんも参加するという事と、男の子も誘っていいという事。
やったぁ~!じゃあ江角君も誘っても良いって事なのか聞いてみると「いいよ」と言ってニコッと笑ってくれた。
あれっ?
茂山さんも里沙ちゃんも参加するってことは、お店はおじさんとおばさんだけで大丈夫なのかなぁ……。
結婚前とはいえ、あまり好き勝手なことをしていると、嫁入りしたあとに里沙ちゃんが怒られないだろうかと心配していると、お店の方にはクリスマスに左程用事のなさそうな二人を応援に入れるという事だった。
「誰と誰ですか?」
「傷心の京子ちゃんと、同じく傷心のコバが快く引き受けてくれたわよ」
「へぇ~京子ちゃんとコバがぁ~。って、二人共“傷心”って何かあったんですか?」
私が驚いた顔で聞くと足立先輩は、さも愉快そうに笑いだす。
なにを知っているのか、聞き出そうとすればするほど、その笑いは大きくなるばかり。
もーっ。完全に揶揄われている。
少し脹れていた私に足立先輩が、笑いが止まらない苦しい息から絞り出すように「あ・秋に二人共……」と言った。
知らなかった。
いつも仲良くしてくれている二人に、そんな悲しいことがあったなんて。
ようやく笑いが止まった足立先輩に、私は抗議するように言った。
「私の大切な友達を振るなんて許せない!もっともっと好い人を探してあげましょう!」
真剣に言ったつもりだったのに、足立先輩ったら一瞬目を丸くしたかと思うと、前にも増してまた笑い出してしまった。
もーっ!何なのよ。知らない!
困った私はデッキから降りて、ロンとラッキーに遊んでもらった。





