恋人たちの聖地㉔
コンクールが終が終わって、部員たちのバスと一緒に名古屋を後にして、途中浜名湖サービスエリアで休憩した。
ここで後輩たち現役高校生と一緒に、遅い夕食を取る。
「そう言えば、千春が江角君と恋人めぐりしたのって、ここだっけ?」
食事中に里沙ちゃんが振ってきた言葉に、一瞬ビクッと跳ねてしまった。
「あっ、う・うん。恋人めぐり、ではなくて恋人の聖地でハートロックした所だけど」
「面白そう!ねぇねぇ私たちもしましょっ!そのハードロック!」
「あー、京子。ハートロックよ。ハードロックじゃ、甲本の世界に入ってしまう」
里沙ちゃんが、京子ちゃんの間違いをたしなめる。
丁度、甲本君の名前が出たからなのか、そのタイミングで隣の席に居た高橋さんが「なんですか?」と首を伸ばしてきて、それに今川さんたちも加わって、食事のあとみんなでハートロックのある場所に行くことになった。
「お願いだから、探さないでぇ~」
皆がぞろぞろとハートロックを見て回る中、恥ずかしいので私が言うと「OK!OK!」と、聞いてくれているのかいないのかテキトウな返事が返ってくる。
高橋さんに無理やり手を引っ張られるように、甲本君がハートロックのガチャポンに強制連行されて行き、今川さんと宮崎君は仲良く並んでその二人のあとに続く。
吹奏楽部内に居る、恋人同士が何組かガチャポンを囲んで、ハートロックしに行く中、加奈子さんがさくらさんと私の所に来て「友情の証では駄目でしょうか?」と聞く。
私に聞かれても正直困るけれど、友達だって恋人と同じように大切な絆。
そう思ったから「いいんじゃないの」と返すと、二人共喜んでガチャポンの所に飛ぶように走って行った。
「ねぇ~千春ぅ。私もやりたい」
「えっ、私たちは――」
ホテルで“百合”って言われたことを思い出して、一瞬躊躇う。
けれども、たしかにさっき自分で言った事も正しいと思う。だから「やろうか!」と明るく返して、ついでに里沙ちゃんと瑞希先輩も誘うと他の子たちも参加して、結局長い長~いハートロックが出来上がった。





