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恋人たちの聖地⑤

 紅葉が始まりかけた十月中旬、今年も全国吹奏楽コンクールの日がやって来た。

 今年は足立先輩が行けないので、里沙ちゃんに頼んで茂山さんの車に便乗させてもらおうと思ったら、既に定員が埋まっていると言うことだったので、江角君の車に乗せてもらって行く。

 ロンを連れて行きたい気持ちは強くあったのだけれど、今回は我慢しようと思う。

 だって、いくら江角君が“いいよ”と言ってくれたとしても、江角君の家族や友達も乗る車に犬を乗せてもらうのは忍びなくて……。

 よその家庭の車なのだから、中には犬の匂いや毛に敏感な人だって乗るかも知れないでしょ。

 それに――。


 部員たちの出発の前日に、学校で行う最後の練習を見に行ったとき江角君に聞かれた

“ロンも連れて行くだろ”って。

 私が「連れて行かない」と言うと、何故かと聞き返されたので答えた。


「去年、足立先輩にロンたちを連れて来てもらったことは、私の応援としてのことでしょ。でも今年演奏するのは後輩達。私じゃない。ロンを連れて行くことは、遊び半分に来ていると思われても仕方がないから」


 そう、私の事を良く知る後輩達に、ロンを連れて来ていない私の姿を見せることが一番の応援になると昨日の散歩のときにロンと決めたのだ。

 江角君は、ポンと肩を叩いて「さすが金賞受賞時の部長だけのことはある」と褒めてくれた。

 それから「じゃあ、俺も今回の名古屋行きはデート気分を捨てなくちゃ駄目だな」と言うものだから、それは嫌だと甘えてしまい笑われた。


「えっ、じゃあデート気分でいいの?」


「良いの、行き帰りだけは。その代り会場では怖い“元部長と副部長”でいるの!」


「なんかそれ、いい加減じゃない?」


「いいえ、こういうことはメリハリが大切なだけ!」


 私が言うと、クシャクシャと頭を撫でられた。

***参照***


去年の全国大会 ⇒ 分かち合う喜び①~⑥


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