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青い夏の日④

「私、大切にする。江角君の気持ちも、足立先輩の気持ちも」


 涙を拭い遠くの海を見ながら言うと、足立先輩はポンポンと私の頭を撫でてくれた。

 そしてロンとラッキーと一緒に、時が遅く流れている様な大きな海を見ていた。


「おーい」


 波間に煌めく様な、はじけた明るい声を風の中をスーッと通り抜けて、振り返ると京子ちゃんが、まるで子供のように一目散に走って来る。でも何だか走り方が、おかしい。

 そう思っていると、それもそのはず、京子ちゃんは両手で三つのソフトクリームを抱えて走って来た。


「ハイ。これ」


「サンキュー♪」


 差し出されたソフトクリームを掴んで、足立先輩が言い、私も貰って有難うと言う。

 京子ちゃんは、今まで私たちが見ていた海に目をやり「海、綺麗やなあ。ちかっぱ大きかね」と背伸びをした。


「“ちかっぱ”って?」私と足立先輩が聞きなれない言葉に首を傾げて聞くと、“物凄い”と言う博多の方言だと言って笑い、今度は「写真とっとっと?」と悪戯っぽく言った。


「“とっとっと“って?」また二人で聞く。


「撮っているの?ってこと」そう言って、いかにも楽しそうに笑う。


「何で急に博多弁なの?」


 足立先輩が不思議そうに聞くと、京子ちゃんは「何でだろう?でも、何となく」と言ったあと海に向かって大声で叫んだ。


「博多ーっ、楽しかったっちゃんー。ばってん今度行くときは前向きな気持ちで行くけん覚悟せれや!」


 呆気にとられた顔で見ている足立先輩をよそに、京子ちゃんはソフトクリームをペロッと平らげ、ロンとラッキーと遊び始めた。


「なに、今のって?」ソフトクリームを舐めながら、足立先輩が驚いていた。

 だけど、私にはよく分かる。

 京子ちゃんの暗い影が無くなってしまった事。

 私もソフトクリームを食べ終わり遊びに加わると、直ぐに足立先輩も加わって遊んでいた。

 ところが、暫く遊んでいるとロンが何かに気が付いたように急に方向転換して猛ダッシュ。

 チャンとリードを手首に巻き付けて抜けないようにしていたから、放れてしまう心配はないけれど、その分体が持って行かれる。

 体制を立て直して、転ばないように走ってついて行くその先に見えたのは江角君。

“マテッ!”と、止まるように指示を出すはずだったけれど、止めた。

 だって、ロンったら余りにも嬉しそうなんだもの。それに江角君も、そんなロンを受け入れるように構えていたから。


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