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月のなくなった夜⑭

 双子の姉妹にそれぞれ一匹ずつ与えられた柴犬の“リョウ”と“ケイ”。

 ある日、散歩のときにそれぞれの犬を交代した時に京子ちゃんがリョウを逃がしてしまう。

 姉妹がいくら探しても見つからなくて、泣きながら謝る京子ちゃんに、怒った涼子さんはケイを自分の犬とすることを言い出す。

 つまり、逃げたのはリョウではなくケイだとすること。

 リョウを逃がした負い目から京子ちゃんは承諾し、この日からケイはリョウとして育てられることになる。

“家族の仲間”

 京子ちゃんは幼いながらも、リョウになったケイを家族として育てることで大切にしようと決心した。

 しかし姉の涼子さんは違った。

 涼子さんはリョウをまるで自分の所有物のように扱ったのだ。

 機嫌の良い時はリョウを甘やかせて人間の食べ物を与へたり、機嫌の悪い時やリョウが悪さをすれば容赦なく叩く。

 まるでぬいぐるみか、おもちゃのような扱い。

 当然のように散歩に行くのも、天気や自分の機嫌に左右され、行きたくないときは京子ちゃんが散歩に行った。


「でも、嫌じゃなかったよ。だってどんなに土砂降りでも、この時だけはリョウもケイとして私に接してくれるのだもの」


 柴犬は賢い。そして飼い主への忠誠心に厚い犬。

 屹度リョウとして生きて行くことになったケイは、京子ちゃんのために一所懸命リョウを演じていたのだろう。


「最初はね、わたしもオーボエ習っていたんだよ。でもね、こんなことがあってからトロンボーンに代えたの。教室が違うでしょ」


 教室が違えば先生も違うし、当然レッスン日も違ってくるだろう。

 涼子さんとレッスン日が違うとき、自分だけが家に残れる時だけケイと居られる。ケイもケイとして過ごすことが出来る。そう言った日と雨の日だけが京子ちゃんとケイに与えられた時間だったのだ。

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