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結婚⑪

 二人が結婚したのは、夏花さんが医学部を卒業する年の夏。

 ハンター邸は、その前の年の十二月に完成していて一月からは大学病院を辞めた慎吾さんが開業医としてそこで診察を始める。

 夏花さんは看護師として勤めながら、医師免許取得に向け大学と掛け持ちで頑張っていた。

 医師免許も取り大学も卒業して、いよいよこれから二人が同じ医師として新しいスタートを切るという矢先に事故が起きた。

 それは、慎吾さんから促された夏花さんが大学の友達と卒業旅行に行っていたときのこと。

 明け方の六時に夏花さんの携帯が鳴る。

 慎吾さんの携帯からだ。

 モーニングコールだと思い、ウキウキした気持ちで旅館のベランダで携帯をとると、そこから聞こえるのは知らない人の声。

 そして、その電話で知らされたのは、持ち主の死。


“深夜二時、国道246号線長津田付近で信号無視して交差点に突っ込んできたトラックと衝突。車はトラックに潜り込む形となり……”


 後半は何を言っているのか全然耳に入ってこなかった。

 潜り込んだ車から救出されたのは事故から二時間後、心肺停止の状態で救急病院へ運ばれたけれど結局蘇生できず午前五時五十五分死亡。

 旅行から帰ったあと、一週間後の日曜日には新しい二人目の医師を迎える病院のお披露目に音楽会を催す予定だった。

 夫婦二人のヴァイオリンのデュオ。


「このヴァイオリンは、奏でるはずの持ち主が居なくなったもの。持ち主が居ないのは可哀そうだからって、夏花さんが僕に託してくれた」

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