結婚⑩
今日は遅くなりました。
と、言うのも昨日飼っている犬(ラリー君)が急病になってしまい、獣医さんの所で診てもらったら入院になりまた。
なので、朝から病院にお見舞いだったんです。
昨日は、ホンノ1時間ほど昼間に買い物に出て家を空けました。
久し振りに暑い日だったので、クーラーを入れたはずでしたが、戻ってみると”おそうじモード”
たった一時間ちょっとの間に、部屋は暑くなり、寝たきりのラリーは熱中症から胃拡張→誤嚥による肺炎となり、慌てて病院に。
数えで17歳の老犬。
今年の2月から寝たきりで、一所懸命介護しているつもりだったのに迂闊でした。
ペットとは言え、命とのお付き合い。
以後、気をつけます。
夏花さんが、慎吾さんと出会ったのは私たちと同じYCU。
と、言っても同じ大学ではなくて慎吾さんがYCUの医学部一年生で、夏花さんは県立大の看護科三年生。
違う大学に通う二人の出会いは、電車の中などではなく“横浜市立大管弦楽部”という部活。通称“よこいちオケ”
違う学校なのに何で?と思うけど“よこいちオケ”では他校からの入部も受け入れている。
もちろん県立大にも吹奏楽部はある。それなのに何故、夏花さんが“よこいちオケ”に入部したのかは、江角君でさえ教えてもらっていない“謎”。
ピアノと、フルートが少しだけ演奏できる夏花さんに、二級下の慎吾さんがヴァイオリンを教えた。
「あれ?夏花さんってヴァイオリンが弾けないんじゃなかったの?」
「あぁ、ゴメン。弾けないんじゃなくて、弾けなくなったんだ」
「どうして?」
咄嗟に聞いて“しまった”と思った。
大切な人が教えてくれたヴァイオリン。
そして、その大切な人が居なくなったとき、心の整理がつかなければ……。
「あれ?そう言えば夏花さんって県立大だから、看護師さんじゃないの?どうして今は女医さんなの?」
急に素朴な疑問を投げかけた私に江角君は笑って「闇医じゃないよ、大学を卒業してからもう一度YCUの医学科に入り直したから」
「あー。なるほど。それで結婚してハンター邸で一緒に開業したわけね」
「そうなるはずだった」
のんきに聞いてしまい、心が痛んだ。慎吾さんが、いつ・どのようにして亡くなったのかも知らないで言ったことを。
いつの間にか、ロンが私の膝の上に頭を乗せ、慰めていてくれていた。





