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結婚⑧

「さてと、では部長。練習を始めましょうか」


「部長!?」


 私たちはサークルにも入っていないのに、部長だなんて。


「鮎沢が部長で、俺は部員」


「嫌よ。部長だなんて」


 少し浮ついた気持ちも入っていたため、言った言葉がまるで“昼メロ”に出て来るオバサンのように艶めかしくて嫌だった。

 だから、もう一度改めて「部長は嫌!」と、キッチリ言うと、今度はかなり子供じみた意固地でキツイ言い方になってしまう。

 これでは印象が悪いと思い、言い方を変えようと思っていると江角君が先に言った。

 “ゴメン”と一言。

 その言葉に、私は慌てて部長を引き受ける事を伝えた。

 部長はiyaじゃなくて、部長はiiya。iiya=好い+ヤッホーとか、苦し紛れの説明付き&高校での実績アピール付きで伝えると、江角君に大笑いされた。


「ところで楽器は?」


 トロンボーンとは違う楽器だとは聞いていたけれど、第一予想のピアノは外れた。

 第一予想に自信満々で第二予想など思いもよらなかったので素直に聞くと、江角君が後ろに隠していたバックからケースを取り出す。


“ケースをワザワザ大きめのバックに入れて持ってくるあたりが、私の好奇心を擽る”


 ひょうたん型のケース。


「もしかして、ヴァイオリン!?」


「そう」


 江角くんが肯定してからケースを開いて見せた。

 ケースも高級そうなものだったけれど、中から現れた赤茶色のヴァイオリンが、まるで明けの明星の金星のように輝いていた。


「これ、江角君の物?」


 余り高級そうだったので思わず聞いてしまうと「慎吾さんの物」だとポツリと言う。

 “慎吾さん”が誰なのかサッパリ分からなくてポケっとしている私に、夏花さんの旦那さんだと教えてくれた。夏花さんとは、あのハンター邸の女医さんで江角君の叔母さん。

 でも、ご主人が居るなんて初めて知った。

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