表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
491/820

結婚⑦

「なにキョロキョロしていたの?」


 江角君の傍まで行くとニッコリ笑顔で聞かれ、さすがにグランドピアノが何処に置かれているのか探していた。なんてことは言えずに、風が綺麗だなと思って見ていたと答える。


 実際、今日は綺麗な風が肌を優しく撫でるように吹いていた。

 江角君は「ふぅーん」とだけ返事をして、私の足元に目を移す。

 そこに居るのはロン。

 ロンは珍しく江角君のズボンの臭いをしきりに嗅いでいた。


「ロン止めなさい」


 慌てて、ロンの背中を後ろに触り止めることを促すと、意外なほど素直に言うことを聞いてくれた。


「賢いな。直ぐに言うことを聞く」


「ありがとう」


 自分で言うのもなんだけど、ロンは本当にお利口さんで言うこともよくきいてくれる。

 だけども、今日はロンにとって“恋敵”との直接対決なので私の言うことなんて聞いてくれないと思っていた。

 二人は初めて会うわけではない。中学三年の星の見える山の演奏会でも、この河原の練習でも何度か会っている。

 だけど、それは私の友達の一人として。

 今回の江角君は、もう友達じゃあない。


 私の、こ・い・び・と。


 そこまで考えたとき顔が赤くなるのを感じて、江角君に見られないように俯いてロンを撫でていた。

 ロンは驚いたように目を大きく見開いて、そんな私をジッと見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ