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結婚⑤

 とうとうロンに打ち明けた。

 私の気持ちを知って、ロンはどんなふうに思うのだろう?

 祝福?

 それとも、裏切り?

 しかしロンの反応は、そのどちらでもなかった。

 いつも通りのロン。

 私の告白なんて、まるで耳に届かなかったよう。

 いくら賢いと思っていても、複雑な人間の言葉や感情を全部理解できるはずもなく、何事もない。

 少なくとも、告白して悪い方に行かなかったのは良かったけれど、思い切って打ち明けたのだからもう少し反応が欲しい。

 帰り道、いつもと変わりなく散歩を楽しんでいるロンを見つめながら、そう思っていた。

 それでも、私の心の中では一応の一区切りは付けたと思い、気が楽になる。

 やっぱり、隠し事は良くない。


 家に戻り、蒸らしたタオルで体を拭いてブラッシングをした。

 足を拭く時には、こっちから言わなくても気を聞かして拭いてもらう足を上げてくれるのに、今日は催促されてから上げていた。

 なんとなく考え事をしているみたいに。

 寝室に連れて入ると、いつものようにベッド脇に寝転ぶ。

 冬には毛布の中に潜り込んできたけれど、春になり暖かくなった今はいつもここがロンの寝床になり、少しつまらない。


「おやすみ、ロン」


 ベッドに横になり、ロンの頭を優しく撫でて明りを消した。

 目を瞑り、言葉だけではなく、今度ロンと江角君を合わせなければと考えていていつの間にか寝ていた。

 途中、柔らかくて暖かいフワフワした感覚に目が覚めて見ると、ベッドに上がり混んできたロンが私の横に潜り込むように幸せそうな寝息を立てていた。


「ごめんね、ロン。だけど江角君の事好きになっちゃったんだもの、許してくれるよね」


 もちろん寝ているロンは、なにも応えない。


「でも、君の事は初めて家に来た時から好きだよ。恐らくそれは永遠に続くの」


 ベッドの中で優しくロンの頭を撫でると、ロンは


“そんなことくらい、知っているよ”


 と、でも照れながら言っているみたいに、寝返りを打って背中を向けた。


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