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結婚④

 美樹さんが兄と帰ってから、ロンともう一度散歩に出た。

 澄み渡った星空を見上げていると、銀河に開けたドームの中を歩いているよう。

 しばらくして、いつものベンチに腰掛ける。

 空には、ナイトフライトの飛行機。

 そのエンジン音が、遠雷のように低い音を遅らせてとどけて来る。

 飛行機を追って夜空を見上げた。

 屹度、ロンも見上げているに違いない。

 でもロンが見上げているのは、飛行機ではなくて“飛行機を見上げている私”


「どこへ行くんだろうね」


 上を向いたまま話し掛け、それから視線を降ろすとロンは未だ上(私)を見ていた。

 星空を映し出すために存在する、澄んだ黒い湖のような瞳。

 そしてその黒い池に落とした斧を覗き込むように私が映し出される。

 まるで童話の一場面。

 次に来る言葉は“あなたの落した斧は、この金の斧ですか?それともこの汚れた鉄の斧ですか?”だ。

 嘘をつくか、正直に答えるか答えは明白。

 嘘をつけば全てを失う。

 正直に答えたからと言って、童話のような見返りが来ることは稀。


「でも、正直に答えるね!」


 そう言って鼻を軽く突くと“クシュン”と、くしゃみをしてまるで駄々をこねるように首を振るロン。

 その頬に優しく両手を添え、真直ぐに目を合わせた。


「大好きなロンだから、一番に教えてあげる」


 少し目を逸らしかけたロンが、決心したようにもう一度目を合わせて来る。


「私、江角君の事が、好き」



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