表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
483/820

新しい生活⑲

 春の夜。

 海風が、生暖かく肌を濡らす。

 囃し立てるように、海鳥が鳴く。

 どのくらい、そうしていたのだろう?

 江角君の体から離れた途端、膝が抜けたようにガクガクして立っているのが精一杯だった。

 だけどそんなに弱い自分を見られたくなくて、橋の欄干に手を乗せて海風に髪をなびかせる。

 今夜、一度目のキスは優しくてとろけそうだった。

 そして、二度目のキスは激しくて燃えるよう。

 どっちが好きかな?

 なんて、まだボーっとしている頭で考えていた。

 でも“どっちが好き?”って聞かれたら、私は屹度こう答える。


『どっちも好き』と。


「ごめん」


 私が黙っている事を気にしているのか、何故か江角君が謝ってくれた。


「ううん。何でもないから謝らなくてもいいよ」


 私が微笑みながら、そう答えると、そっと私の横に肩を寄せて並んでくれた。

 カーディガン越しに伝わってくる愛しい人の感覚が、私を甘く痺れるような余韻へ導く。

 江角君の広い方に頬を乗せて“好き”と呟くと、優しく肩を抱いてくれて三度目のキスをした。

 軽く優しくて、ほんのりと甘い。

 でも、これって癖になりそう。

 こんな所で、こんなことを許してしまう自分自身を不思議に思い、急に怖くなり軽く江角君の胸を押すと、それが分かっていたかのように何の抵抗もなく体を話してくれた。


 橋の欄会に手を駆けたまま靴でトントンと地面を叩いてみる。

 大丈夫、もう歩けそう。

 そのことを確認してから“帰ろうか”と言ってみると、江角君は“遅くまで、ゴメン”と返したので“いいよ”と答えてから、その腕に止る。

 駅は、私が思っていた橋上駅ではなくて、一階に駅の改札があり、そのことを江角君に話すと笑われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ