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新しい生活⑯

“鮎沢と二人で練習がしたい”


 そ・それって。

 思ってもいなかった江角君の言葉に、しばらく頭が付いて行かずに只立ち尽くしていたけれど、次の瞬間体が勝手に動いていた。

 砂浜を駆けて江角君に飛びつく。

 まるで、待ち焦がれていたプレゼントを貰った子供がパパやママに抱きつくように江角君の胸に。


 江角君が優しく髪を撫でてくれる。


 髪を撫でられるのは気持ちがいい。


 慈しまれている実感が、心を温かく溶かす。


 江角君の手が首から頬を伝う。


 私は、その手の動きに合わせるように、顔を上げる。


 空に光る星々。


 煌めきを遮るように、江角君の優しい目が私を覗き、私は受け入れるため目を閉じる。


 柔らかい愛に満ちたものが江角君の体温を私に伝え、私も唇を通して自分の体温を伝える。

 激しい伝送速度に気が遠くなり、体の力が抜けて行く。


 それはもう、立っていられないくらい。


 私の体を、江角君が確りと抱きしめて支えてくれる。


 一旦顔を話した江角君が「いい?」と囁く。


 その“いい?”が何を指すのか、今は全く分からなかったけれど甘く「もっと」と返し、腕を首に巻き付けて“おかわり”を強請った。


 江角君は優しく応えてくれ、再び暖かな唇が重なる。


 もう遊園地の騒めきも、波の音も聞こえない。


 聞こえるのは、ふたりを包む星の瞬く音だけ。

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