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新しい生活⑬

 背が高く、爽やかで精悍な顔立ち、それに優しい。

 本当に、こんな私にはもったいない程の人が告白して、しかもキスまでしてくれたのだろうか?

 電車が左に曲がり、窓の正面に八景島シーパラダイスが現れた。

 夕方にライトアップされた遊園地は、まるで夢の世界のように見える。

 江角君の事も、実際に起きたことだけどこの遊園地みたいに夢のよう。


「着いたよ」


 促されて降りた駅は、海の公園南口。

 久し振りの海に浮かれ、子供のように鞄を大きく振って歩く。

 鎌倉以来の海だ。

 って、言うことは……。

 期待で心臓がバクバク音を立てだして江角君に聞こえてしまうのではないかと思うと急に恥ずかしくなり、鞄を振る手を止め、おとなしく俯いて江角君の横を歩く。

 シーパラダイスを正面に見る渚は、そのライトアップされた灯りを映して幻想的。

 静かで規則正しい波のざわめきに交じって時折遊具に興奮した歓喜の声が混ざり、丁度それは今の私の心を映しているよう。

 江角君と浜辺でデート。

 キスがあるかも。

 って、思う反面、ひょっとしたら「鎌倉でのことは忘れて欲しい」と別れ話を切り出されるかも。

 だって正直言って、このイケメンの江角君なんだもの、私の他にも相応しい女の子なんて沢山いるはず。

  私が妄想に取りつかれているとき、江角君が「聞いてくれる?」と言ってきた。


“愛の囁き”


 それとも


“別れ話”


 心臓が飛び出ると言うのは良く聞くけれど、今の心臓は肺の裏側に隠れるようにして怯えた鐘を打ち鳴らしていた。

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