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新しい生活④

 この日は良いバイト先が見つからず、また次回と言うことになり、結局そのあと三人でウィンドショッピングを楽しんでから家に帰る。

 玄関に入ると洒落たハイヒールが置いてあり、ロンがいつにも増して楽しそうに飛んできた。

 美樹さんが来ているのだ。

 そう思うと、私も慌てて洗面所で手と顔を洗いリビングに向かう。

 玄関から洗面所、そしてリビングへと移動する私の顔をロンが得意そうな顔で見上げながらエスコートしてくれる。

 移動するときなんか、催促するように半歩ほど前を振り向きながら歩く。

 リビングのドアの前で立ち止まった。

 このままこのドアを開けてしまうと、私は直ぐに美樹さんと話を始めてしまうだろう。

 もちろんロンも、そうなることは知っていて、ある意味美樹さんと合って私が喜ぶことを期待している。

 いつも自分の事よりも私や家族の事を優先して考えてくれているロン。

 お腹が空いても散歩に行きたくても催促しないし、体調が悪くても静かにしているだけ。


「君は、本当に好い子だね」


 腰を降ろし、目線を合わせてロンの頭をクシャクシャに撫でた。

 二・三回撫でただけじゃ物足りなくて、いっぱい撫でるとロンが喜んで私の顔を舐めに来た。


「あっ、駄目!」


 いま顔を洗ったばかりで、ドアの向こうには美樹さんが居るというのに、ロンが容赦なく私に覆いかぶさろうとする。

 思いっきり体重を掛けられて倒れそうになった瞬間、ドアが開いてリビングに寝っ転がって入る。


「あら!おかえりなさい。いつもラブラブね」


 美樹さんから、そう声を掛けられて「こんにちは」と言うのが精一杯だった。

 ロンは私に馬乗りになって、久し振りに“顔の味”を堪能し、それを兄が助けてくれた。

 みんながソファーに座って微笑ましい表情で私をみているけれど、ロンに押し倒されたとはいえ、ここに仰向けに寝転がっている私は誰がどう見ても“ブザマ”以外の何物でもない。

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