星空のセレナーデ⑩
さてさて、どうしたものだろう……。
目の前にある物の前で、うつむく宮崎君と堀江君。
怒っている里沙ちゃんと、その里沙ちゃんの前で頭を掻きながら苦笑いをして弁解している伊藤君。
三年経っても何も変わっていなくて、今回も飯盒のご飯は真っ黒こげ。
寧ろ三年前より、こげ方が酷いように思える。
足立先輩は興味深く、その黒い塊に覆われて中心に僅かに残った白い部分のお米をつまんで“香ばしくて美味しい!”と喜んだものだから、伊藤君が調子に乗り、そして里沙ちゃんにまた怒られる。
結局今回も前回同様に茂山さんが持ってきてくれたレトルトのご飯でカレーライスを食べることになった。
「あっ、そう言えばもう決めたんだよね。いつ?」
茂山さんが帰った後、足立先輩が里沙ちゃんに聞いていた。
“なんの事だろう?”
「はい。来年の春に結婚します」
「おめでとう。長かったね」
その言葉を聞いて伊藤君たちと一緒に改めて「おめでとう」と言った。
すると、足立先輩が里沙ちゃんに“とうとう千春に報告したんだね”って言うので、私が最後に報告されたのかと少しだけ機嫌を悪くしていたら、宮崎君に慰められた。
「大丈夫ですよ。立木先輩から直接報告されたのは恐らく鮎沢部長だけだと思いますから」
その言葉にホッとしたものの、次の瞬間疑問も湧いてきた。
“なんでみんな知っているの?”
疑問が顔に出たのか、堀江君がそっと近づいて来て「立木先輩と茂山さんのこと、みんな薄々気が付いて噂になっていましたから」と教えてくれた。
えっ!気が付いていなかったのは私だけなの?





