星空のセレナーデ⑤
バーベキューを楽しんで、その片付けも終わり草原に寝転んだ。
三月の未だ芽生えて幾らも経たない草は、柔らかくて気持ちがいい。
受験勉強に追われていて、久し振りにのんびり横になる。
しかも自然豊かなキャンプ場の草原。
私が横になると、足立先輩たちに遊んでもらっていたロンが一人でやって来て私の横に寝転んだ。
最初は、お行儀よく伏せの姿勢。
私が頭を撫でているうちに徐々に姿勢が崩れて横になる。
遊び疲れたのだろう、その精悍な目がトロンと眠たそうになる。
“寝ていいよ”そう言うと確りした瞳で捕らえられるのは分かっていたので、ロンと目を合わせたまま私は目を閉じる。
暫くそうしてから、ゆっくり目を開けるとロンは目を閉じて気持ちよさそうに眠ってしまった。
「いっぱい遊んだね」
そう言って軽くおでこを撫でると、気持ちよさそうに寝息を立てた。
微かに吹く風が新緑と雪解け水の冷たさをとどけてくれて心地良く、いつの間にか私も寝てしまう。
カシャカシャと草を踏む音が近づいてきて、私の横でその音が横に広がる。
誰だろうと思いながら、気持ちよさに負けて瞼を開けられずにいると、横からもスースーという寝息が聞こえてきた。
屹度、里沙ちゃんだ。
里沙ちゃんは、なにかを私に伝えるために来たのに違いない。
だけど今は、目が明かない。
起きてから、ゆっくりね里沙ちゃん。





