春の桜道⑰
うっかりしていたら、書き始めてもう一年が過ぎていました。
昨年7月15日に書き始めたときは、前作の「なっちゃん」と似たような”童話”仕立てにする予定で、ジャンルも”童話”にしていました。
ところが書き始めるとドンドン書いて行ってしまい、半年後の正月までには、一年までには・・・と、思いながらマダマダ書き足りない(笑)
これだけ長いと途中から読み始める人は大変なんだろうな・・・
と思いつつ、それでも仕方ありません。
もしもプロなら”打ち切り”とかで、こんなの書けませんから。
と、言うことでマダマダ続きそうですが、これからも宜しくお願いいたします。
加奈子さんが江角君の第二ボタンをオネダリしたのを切っ掛けに、江角君の周りには別れを惜しむ女子が群がった。
ちょっとヤケルと思っていると、高橋さんに「いいんですか?」と、聞かれて「なにが?」と、はぐらかす。
「モテる彼氏を持つと大変だなぁ~って思ったから」
そう言ったあと高橋さんは、自分自身も江角君が好きだった事と、それで私の事を恨んでいたことを話して謝ってくれた。
最初の睨みつけてくるような目線は、つまりそう言うことだったのか。
話の途中に一年生の堀江君が割り込んできた。
何だろう?って思うと、その後ろにも数人の男子。
いつも生意気な堀江君が神妙な顔をして私の前で固まっている。
後ろの生徒が、堀江君をせかすように肘でつついている。
「堀江君、これからも頑張ってね」
何だか言いにくそうだったので、こちらから話す切っ掛けを与えてあげると、ようやく堀江君は話し始めて私を驚かせた。
「鮎沢部長。ずっと好きでした」
堀江君の言葉を先頭に、後ろに並んだ男子たちが一斉に「俺もです」「卒業しても百瀬先輩たちみたいに教えに来てください」とか言ってくれる。
嬉しくて涙が出て来るけれど、元気に笑って「うん!」と明るい声で答えた。
泣き止んだ里沙ちゃんに、やっと千春も大人らしい対応が出来るようになったねって言われ、皆に笑われた。
そうこうしていると、いつの間にか江角君が隣に来て手を差し出す。
なんだろうってポカンと見上げていると。
「一緒に春の桜道を潜って貰えませんか?」
って、まるで王子様みたい。
わたしが「ハイ」って答えると周りから囃し立てるようなワーと言う歓声が上がった。
そして私たちはその歓声を残して、ふたり手を繋いで桜色のアーチの中に入って行く。
アーチの桜色と、空の青色が交互に私たちを彩る。
それはまるで今までの私たちと、これからの私たちのように感じた。
そして、そのどちらもとても気持ちが良いものだった。





