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春の桜道⑰

「さあ、後輩たちに晴れやかな顏みせに行くぞ」

  

 江角君にポンと肩を叩かれて顔を上げると、クールで優しい顔が通り過ぎて行く。

 

「里沙、行くよ」


 里沙ちゃんにそう言って、立てるか聞いてみると「うん」と、ひ弱な返事が返って来た。

 まだ泣きじゃくる里沙ちゃんを抱きかかえて起こし、そのまま連れて行く。


「ありがとう。やっぱり千春が一番好き。でも何で私は男の子に産まれて来なかったんだろう」


 抱かれたまま嗚咽を堪えながら里沙ちゃんが言った。


「里沙、男の子に産まれたかったの?」


 私の問いに里沙ちゃんは「ううん」と否定する。


「女の子のままで幸せだけど、千春の前でだけ男の子で居たい」


 変なことを言うので「どうして?」と聞いてみると、驚かずに聞いて欲しいと言われた。

 何かと思ったら「好きだ」と告白された。


「私ね、知っていると思うけれど千春の事ズット好きだった。本気で結婚できたら好いなって思ったし、本気で二人の子供が欲しいと思った。一生一緒に居たかった。好きよ千春の事。一杯大好き」


 まさか同性の里沙ちゃんに告白されるとは思っても居なかった。

 だけど、嬉しかったし私もズーっと一緒に居たかったし、同じ気持ちでいたことを話すと、里沙ちゃんは私の肩につかまったまま耳元で「ありがとう」と言った。


 グランドに出ると桜色のアーチが幾つも並べられていて、その中で吹奏楽部の後輩たちが、私と里沙ちゃんを見て驚いていた。


「先輩たち、心と体が入れ替わったんですか?」


 驚いている今川さんの隣で宮崎君が言って皆を笑わせた。

 本当、いつもの私たちなら泣いて立てなくなっている私を里沙ちゃんが支えてくれていたのに。

 でも、こうしてて思うのは、いつも私が弱虫だったから里沙ちゃんは気丈に振る舞ってくれていたのだと言うこと。

 だから今日だけは、里沙ちゃんの心のままに私が頑張ろう。

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