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春の桜道⑥

 冬休みが開けると、本格的な受験体制。

 最後の模試で、やっと希望する大学がギリギリA判定に入れることができた。

 私とは違う大学を受験する里沙ちゃんは、これまでB判定だったのが最後の最後で余裕のA判定まで持ってきて、さすがに元ソフトボール部のエースだと思って感心して褒めた。

 いつもなら大喜びで抱きついて来る里沙ちゃんに身構えていると、その日はクールに微笑み返されるだけで少し物足りなく、何だか“酸いも甘いも嚙み分けた”まるで一足先に大人になってしまったように感じて少し寂しい気がした。

 私立大の入学試験が終わると、直ぐにセンター試験が始まる。

 今年は雪が降り道路に積もっている。

 電車のダイヤは乱れて、歩くと滑って転びそうになる。

 他の子たちは、時間を気にしたりしてイライラしていたけれど、私は久し振りに積もった雪を見て、ロンと初めてスキー場に行ったときの事を思い出していた。

 ロンに雪が滑りやすいことを教えてあげたのに、スキー場に着くと勝手に走り出してしまい、心配して追いかけた私の方が滑って転んだ。

 あのとき雪に埋まった私の顔を心配そうに覗き込んでいたロンの顔を思い出すと、思わず笑ってしまう。


「余裕の笑みだな」


 不覚にも、一人笑いしてしまった顔を江角君に見られてしまった。


“もー。ロンのばか!”


 いや、勝手に思い出し笑いをした私の方が完全に悪い。

 だから、ロンは悪くもないしバカでもない。

 悪いのは……こんなに皆がピリピリしている状況で、私の顔を見ていた江角君。

 そう考えるとまた可笑しくなってきて、一人俯いて笑いを堪えていた。

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