表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
425/820

春の桜道③

 とうとう部活が終わってしまった。

 でも私たちには感傷に浸っていられる時間はあまりない。

 他の三年生たちよりも、あまりに遅れてしまった受験勉強。

 今日も放課後に私の家で里沙ちゃんと一緒に勉強している。

 だけど最近少し気になることがある。

 それは里沙ちゃんの勉強の態度。

 燃え尽き症候群なのだろうか、勉強中にボーっとしていることが多いような気がする。

 今だってズット横に寝そべっているロンを撫でている。

 ロンの方は撫でられるのが大好きだから、いつも里沙ちゃんが来るのを楽しみにしているけれど、肝心の勉強は疎か。

 あまりにボーっとしている時間が長いと、私も注意するのだけれど大丈夫なのかな。

 十二月になって美樹さんと兄の結婚が正式に決まった。

 結婚式は来年の三月。

 それから美樹さんは四月から、県の動物愛護センターにてペットセラピストとして働く。

 初めて会ったときから、こんなお姉さんが欲しいな。と、思っていたのが現実になる。

 とは言っても、美樹さんたちは結婚後に綾瀬の方にアパートを借りるので離れてしまうのだけど。


「ちはる、千春」


 急に里沙ちゃんに呼びかけられた。


「えっ、なに?」


「ぼーっとしない!」


 いけない、私まで。

 小休止の時、里沙ちゃんにさっきボーとして何を考えていたのか聞かれて美樹さんと兄の結婚の事だと答えると、里沙ちゃんは「結婚も好いなぁ」と憧れ色の目で、窓の外を見ていた。

 そとは、もう木枯らしが吹いていてサッシの窓をカタカタと揺らしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ