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分かち合う喜び⑮

 結局、私は張り詰めていた心が急にはじけ飛んでしまい失神してしまったらしい。

 閉会式まで、ロンと先輩たちに囲まれて待っていた。

 ただ横に並んでくれているだけなのに、ロンと触れるように並ぶと心が落ち着く。

 そうして休んでいると閉会したのだろう、人がゾロゾロと出てきた。

 S女が出てきたとき、京子ちゃんが私を見つけると一目散に走って来てくれて金賞のお祝いを言ってくれて、ロンを撫でてくれたけれど直ぐに他の生徒たちに呼ばれて自分たちの集団の輪の中へ消えた。

 会場を出て来る出場校の生徒たちは皆、凛と輝いている。

 もちろん笑顔ばかりではなく、目標に届いた嬉しさで泣いている人や、思った結果が出なくて悔し泣きをしている人もいた。

 だけど私にはその人たち全員が、この舞台に立てたことを誇りに思っている様に見える。

 私だってそう。

 金賞が取りたくて、金賞を取るために今まで頑張ってきたのに、いざ金賞と言う声を聴いて、驚いて何だか急に怖い夢でも見ているような気がして。

 それにしても、金賞の喜びを観客席の仲間に伝えるためにガッツポーズで拳を振り上げて笑った江角君がシャイニングのジャック・ニコルソンに見えたなんて、どうにかしている。

 江角君は、あんなに脂っこい感じではなく、どちらかと言うとブラッド・ピットのほうが似合うのに。

 そんなことを考えているうちに、私の仲間が出てきた。

 いままで江角君の事をぼんやり考えていたので、出てきた江角君の方へ自然と目がいく。

 すると、向こうも私を見ていて、目が合って何だかドキッとして恥ずかしかった。

 昨年、一昨年同様に騎馬像の前で記念撮影。

 一枚目は学校用。

 そして二枚目以降はロンやOBも交えて和気あいあいの写真を撮った。

 写真を撮っているときにテレビ局がインタビューに来て、先生と私と江角君が質問された。

 最後に、金賞を祝って胴上げと言うことになり、私はスカートだから嫌だと断ったのに、里沙ちゃんに無理やり抱きかかえられ、それから皆の手が伸びて来て私を空に放り出す。

 フワフワして、まるで赤ちゃんのとき経験したような楽しい感覚を思い出す。

 それでも手だけは必死にスカートを抑えていた。

 私の次に江角君、そして中村先生と門倉先生が胴上げされた。

 胴上げが終わったとき、輪の中に鶴岡部長達も混ざっていたことに驚く。

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