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分かち合う喜び⑧

「お兄ちゃん……」


 兄を見て驚いてしまい、そこまで言うのが精一杯だった。


「一年ぶりね」


 兄の隣に並んでいるのは美樹さん。

 その隣には、美樹さんの御両親らしき人。

 兄の隣にも、お父さんとお母さんが並んで立っていた。

 しかも全員の服装が“かしこまった”もの。

 

「来年の春、正式に日本に帰ってくることになったの」


 そう教えてくれた美樹さん。

 隣に居る兄の顔を見上げると、コクリと頷いた。


“えっ。そういうこと?”


 日頃“鈍い”と言われる私でも分かった。

 美樹さんと兄がいて、そして来年返ってくると言う報告が何を意味するものなのか。


「大切な舞台を前にした千春ちゃんには、まだナイショにしておいた方が良かったのかも知れないけど、高三の最後の演奏だけは私だけじゃなく家族と一緒に聞きたかったから。ごめんね」


 高校最後の演奏。

 その言葉に、自分自身感動してしまった。

 最後の演奏を、みんなに聞いてもらえる喜び。

 今更緊張なんてない。

 沢山練習してきたから。

 でも、緊張という現象に麻痺したわけではないし、決して慣れたわけでもない。

 本番を前にすると必ず心が引き締まる。

 だけど、そんなときでも冷静に考えられるし動揺もしない。

 自分に、いや自分たちに自信が出来たのだと思う。

 高校生として最後の演奏。

 この演奏を最高の形で皆に届けよう。

 そして、会場に来てくれた人たちも私たちも一緒に感動できるように。


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