分かち合う喜び①
「瑞希と賭けしていたの。千春が今朝来るかどうか」
足立先輩が楽しそうに言う。
賭けの対象にされるなんて、チョットだけショック。
「で、どちらが勝ったんですか?」
「それがね……瑞希も私も、千春がロンと一緒に来ることを譲らなかったから、賭けが成立しなかったのよ」
隣に居る瑞希先輩と顔を見合わせて笑う足立先輩。
「それで二人そろって……いや、二人と二匹と一台で、ここまで来たと言う訳さ」
「一台?」
二人と二匹は、足立先輩と瑞希先輩。
二匹は、ラッキーとマリー。
それは分かるけど、一台って何だろう?
私が不思議に思っている顔を観察していた足立先輩が、頃合いを見計らって向こうの駐車場に止めてある車に手を広げて紹介してくれた。
そこにあったのは、よく家族でキャンプや快適なドライブが楽しめますよ的なコマーシャルで有名なワンボックス型の自動車。
我が家の背の低い乗用車に比べて、車内が広々として快適なやつだ。
「どうしたんですか?」
私が聞くと、足立先輩が得意そうにポケットから運転免許証を取り出した。
続いて瑞希先輩も。
「免許、取ったんですね。凄い!」
足立先輩が免許を取ったので、家の車を一台買い換えてもらったのだそうだ。
でも、それが朝私とロンがここに来るのと何の関係があるのだろう。





