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最高の輝きに向かって①

 学園祭が終わって直ぐ翌週には東関東大会。

 今年は伊藤君と美緒も居て、久しぶりに会う福田さんとの会話に花が開いた。

 去年何となく冷たく感じた福田さんだったけれど、今年は中学時代のまま、おとなしくてのんびりした福田さんだった。

 審査結果は初の全国大会を狙っていた伊藤君たちも、福田さんの学校も金賞を受賞。

 栄誉なことなのだけど金賞だけでは全国へ行けない。

 私たちの学校は、その金賞の下に代表と付いて発表され、これで三年連続全国大会出場が決まった。

 

「おめでとう。さすがにあれだけ練習されちゃ、敵わないな」


 授賞式の後、伊藤君が言うと福田さんが驚いて


「あれだけって、どのくらい練習していたの?」


 と、聞いてきた。

 私が、どう答えたら良いものか迷っていると、隣に居た里沙ちゃんが“練習とプライベートの境界線が麻痺してしまうくらい練習したよ”って明るく言ってくれた。

 ホント里沙ちゃんの言う通り。

 私たち吹奏楽部は、そのくらい練習した。


「やっぱ、江角君主導で?」


 福田さんが聞くと、伊藤君も美緒も里沙ちゃんも一斉に私の方を向いて、言葉を強調して言う。


「鮎沢主導!」と。


 それを聞いた福田さんは一瞬驚いたけれど、直ぐに“あー”と納得した声を上げた。

 その納得が何を意味するものなのか気になって聞いてみたけれど、福田さんはニコッと笑うだけで教えてくれなかった。

 別れ際“全国頑張れよ”って皆に言われたのが少しこそばゆくて少しだけうつむくと、私の靴のすぐそばに男子の靴がある事に気が付いて斜め後ろを振り向くと、そこには江角君がいつの間にか来ていて、目が合った。

 江角君は珍しく、ニコッと笑って私の肩に自分の手をポンと乗せた。

 急に暖かくなった肩に戸惑いながら帰って行く友人たちのバスに手を振っていた。

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