冷たい水⑧
朝五時前に起きて夏季補修授業で出された課題を片付ける。
それからロンと散歩して、シャワーを浴び、朝ご飯を食べて六時過ぎに家を出る。
七時には学校に着き、練習の準備に取り掛かる頃には部員も集まりだす。
大体七時十五分くらいには全員が集まるようになり、それから全体練習を始める。
朝の練習は補習授業開始前の八時半までの一時間少々しかできない。
学校の正門が開くのが午前七時だから、それより早く始めるわけにはいかないし、 吹奏楽部の練習は音が出るのでもっと早い時間に公園に集まって練習すると言う訳にもいかない。
そして、お昼の練習はもっと短い。
午前中の補習授業が終わり、お昼休憩に入ると直ぐに部室に移動してお弁当を食べる。
いつもの量だと食事に時間が掛かるので、お母さんに量を少なくしてもらった。
まだ口に残っている食べ物をお茶で胃に流し込む。
部長なのに、いつも一番に食べ終われないのを悔しく思っていると、江角君から「食事くらい、ゆっくり食べろ」と注意された。
午後の授業が終わると、学園祭の準備が始まる。
私たち三年生にとっては最後の学園祭。
これだけは、いくら吹奏楽部の練習がしたいと言っても、無理に急いだりして手を抜くわけにはいかない。
それでも、朝から気持ちが張り詰めているからだろうか、意外に物事がテキパキと進み六時前には部室に戻る事が出来る。
大体の部員が揃うまでは、集まった者たちで個人練習。
人数が集まったところで全体練習や、楽器分けの練習を始める。
最終下校時刻も先生に頼んで三十分延ばしてもらい七時まで練習できるようになった。
それでも練習が足りないので、家に帰ってから直ぐにロンと河原まで散歩に行き一時間ほど練習する。
最初はひとりだけだったけれど、直ぐに音に気が付いて足立先輩が付き添ってくれるようになり、里沙ちゃんも茂山さんの車に乗せてもらい一緒に練習するようになった。





