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コンサート④

 セミが、けたたましく鳴く。

 今年も、この時期がやって来た。

 今日は県大会。

 この日のために今年は、足立先輩や瑞希先輩たちOBの力添えもあったし、甲本君にもお世話になった。

 そしてコンサート活動もして、より密度の高いチームワークも得ることができた。

 去年までの自分が嘘のように、自信に満ちた私と私たちが居た。

 私たちが会場に入ると、他校の生徒たちが振り返る。

 それはまるで去年の全国大会でのS女のよう。

 それほど自信過剰ではないけれど、張り詰める緊張感も何故か堂々とさせてくれる。

「いよっ!さすが二年連続全国大会出場校は雰囲気が違うねぇ」

 誰かと思えば伊藤君。

 伊藤君の笑顔を見てから、初めて緊張の金縛りが解けた。

「あ~伊藤君。私もう駄目」

 声を掛けてくれた伊藤君に、思わず寄りかかりそうになる。

「えっ鮎沢、どうしたの?さっきまでの凛とした雰囲気は」

 江角君から、二年連続出場校の部長らしく堂々としていてくれと言われたことを告げると、笑われた。

「無理すんなって。鮎沢はいつも通りで良いんだよ」

「だって、江角君が」

「からかわれているんだよ」

 伊藤君が、また笑う。

 やっぱり、そうか。

 何となく、薄々気がついてはいたんだよね。

「よう!伊藤」

 タイミングよく、すました顔の江角君が来た。

「今年は、お前らの所も力が入っているそうじゃないか」

「えっ、そうなの?」

「そう。今年こそ一緒に全国行きたくてな」

 伊藤君はポンと私の肩を叩くと、自分たちの集団に戻って行く。

「部長。そろそろリハの準備」

「ハイ」

 江角君に言われて、再び気合を入れ直した。

「さあみんなリハーサル室に移動するわよ」


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