コンサート①
次の週から吹奏楽部でコンサートをすることにした。
甲本君のゲリラライブをヒントに、色々な所で演奏して本番度胸をつけるのが目的。
古矢京子さんのS女が、このようなことをやっていると聞いた時に何故気が付かなかったのだろう。
屹度、自分の中でS女だからと勝手にきめつけていたのに違いない。
里沙ちゃんが、商店街でのコンサートを取って来てくれた。
さすが社交的な里沙ちゃん。
でも演奏メンバーの里沙ちゃんに営業活動してもらうわけにはいかないので、マネージャーを募集することにした。
楽器の演奏はできなくても音楽は好きって言う人も居る。
直ぐに五人のマネージャーが集まり、積極的に営業してくれて今月と来月のカレンダーは瞬く間に埋まってしまった。
「埋まったねぇ~」
里沙ちゃんがカレンダーを眺めながら言う。
「練習大変になるからな」
江角君が忠告するように言う。
「えっ、なんで?」
振り返る里沙ちゃんに江角君は「マーチングだってしなきゃいけないし毎週末が本番だから」と言っていた。
毎週土曜日か日曜日のどちらかに本番が入る。
大変なのは分かるけれど、今までの私たちに無かったものを見つけられるはず。
商店街のリニュアルオープンではワーグナーの“双頭の鷲の旗の下に”をマーチングしながら演奏した。
老人福祉施設では“上を向いとぁるこう”や“大きな古時計”などを小編成で。
病院ではヴィヴァルディ‐の春を大編成で演奏した。
毎週聴いてくれる観客も違うし曲目も編成も違う。
ただ、これらが本番であることは間違いなく、私たちは絶えず良い緊張感に包まれていた。





