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らくがき⑤

 結局、試合は大差を付けられてのストレート負け。

 部員も私も泣いた。

 でも、悔しさよりも何故か清々しい気持ちのほうが強かった。

 怪我は不可抗力だったし誰も責められない。

 そのときはじめて、さくらに言われた言葉の意味が分かった気がした。

 試合が終わり体育館の外へ出ると吹奏楽部の数人が居た。

 さくらの声掛けで吹奏楽部の有志が集まったものだと聞いた。

 そして、あの時も。

 あのとき、スタンドで見ていたさくらが私たちのために外に出て応援してくれていた事も。

 勇気。

 そう、私はあの曲に勇気をもらうことができたのだ。

 自分と闘う勇気を。

 最後の大会が終わってからズット考えていた事がある。

 それは強くなる事。

 私はあの時、さくら達に勇気をもらった。

 私も誰かに同じくらいの勇気を届けたいと。

 さくらに聞いた。

 自分に似合う楽器のこと。

 手が長いからトロンボーンが似合いそう。

 さくらにとっては冗談半分だったかもしれない。

 だけど、私はそれでトロンボーンを始める決心をして密かに音楽教室に通う。

 バレーボールでのスポーツ推薦はすべて断って、さくらと同じ青葉台への進学を決めた。

 加奈子さんの話を聞いていて懐かしく思った。

 いろんなところが私と里沙ちゃんの場合に似ている。

 そしてまだ里沙ちゃんに聞けていない楽器を始めた理由も間接的に加奈子さんから聞くことができたようで嬉しかった。

「行きましょう」

「えっ!?」

 戸惑う加奈子さんの手を取って楽器の入ったケースを手に取る。

「ロンも、おいで」

 行き先は、いつもの河原。

「課外授業よ」

 掴んだ楽譜はバッハの“主よ人の望みの喜びよ”


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