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らくがき④

 ロンは、すっかり加奈子さんに懐いていた。

 お菓子を食べながら、少しお喋りをした。

 加奈子さんは身長が175cmもあり、中学時代やっていたバレーボールでは主にアタッカーとして活躍していて県の指定強化選手にもなっていた。

 もちろん高校進学前には、バレーボールで有名な高校からのスカウトも受けていたらしい。

 スポーツの種類は違うけれど、なんだか里沙ちゃんのパターンに似ている。

 それが何故、急にトロンボーンなんか始めたのか聞いてみると、友達のさくらさんの影響だとか。

 さくらさんは元々同じ中学ではなくて、県北の中学から三年生の春に転校してきた。

 加奈子さんは、さくらさんの事は知らなかったけれど、さくらさんのほうは良く知っていた。

 バレー部のエースアタッカー。

 そして自分の元居た中学を2セット合計で50対5と完膚なきまでに負かした張本人。

 最初は今のように仲が良かったわけではない。

 転校してきたさくらのほうから、そのときの試合に付いて抗議されたのが初めての会話だった。

 どうして、そこまでしないといけなかったのか、と。

 はじめは言われる意味が分からなかった。

 弱いから負ける。

 弱いものにイチイチ手を抜いていたのでは自分のレベルが落ちる。

 できるものなら弱い相手とは戦いたくなかった、練習にもならない試合なんて単なる迷惑にすぎない。

 言われても素直に聞けず、正直ウザかった。

 三年生最後の大会、好調に試合を勝ち進み準決勝まで進んだときアクシデントが起きた。

 試合開始早々、スパイクしたあとの着地で、レシーバーが足元に倒れていて足を捻った。

 激痛がはしり思うように動けなくなり、直ぐに交代した。

 相手は強豪校だったのでエースの私が抜けた後は試合にならない。

 しばらく湿布で冷やしてから、自ら進んで試合に復帰する。

 捻挫した足をかばうためスパイクの際は囮になり、最初は旨くいっていた。

 しかし、そう長くは続かない。

 心が折れそうになったとき、体育館の外から吹奏楽部の演奏が聞こえてきた。

 曲は私の好きなアニメの主題歌。

 それを聞いた時、萎えかけていた心が戻ってきた。

 勝てなくてもいい、ただ頑張ろうと。


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