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さくら④

 三年生のクラス替えでは、二年の時に離れていた里沙ちゃんと江角君と同じクラスになれた。

 コバも一緒で、他にはティンパニーの戸塚君とフルートの青山君にクラリネットの真田さん、チューバの梶本さんと、なんと同じクラスに八人も吹奏楽部が集まった。

 そして担任は今年から門倉先生を補佐する、音大を出たばかりの美人教師、中村先生。

 若い美人の先生にクラスがパッと明るくなった。

 特に男子は目がキラキラ、いやギラギラしている。

 部活で今年の入学式式典入場式に、毎年演奏しているエルガーの威風堂々に決まりかけたとき、中村先生が違う曲に挑戦してみてはどうかと提案した。

 たしかに今年も全国大会を目指すのなら、慣れた曲よりも積極的に色々な曲に挑戦してみるのも有りだと思う。

 現に、全国大会常連校のS女は年間百回ものコンサートで色々な曲を披露しているし、有名な高校野球大会常連校の吹奏楽部もそうだ。

 みんなで色々議論した結果、今年の入場曲にはウォルトン: 戴冠式行進曲「王冠」に決めて直ぐに練習に取り掛かった。

 新入生が入って来る頃には、もう桜の花は殆どが散ってしまい緑の葉の中に、まばらに薄いピンク色が残るだけになっていた。

 つい、この前体育館()二階席()で悲しいお別れの曲を演奏し、今日は新入生たちのために晴れやかな歓迎の曲、ウォルトン: 戴冠式行進曲「王冠」を演奏する。

 いつもの厳かな雰囲気とは異なり、体育館全体が華やかになった。

 音楽にあわせて、階下には続々と真新しい制服を纏った新入生が入場してくる。

 その中には二年前の私のように、この二階席中央を見上げて驚いている顔も幾つもあった。

 新入生が全員着席をして式が始まる。

 この中から、また新しい新入部員が生まれ、新しい物語が始まるのだ。


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