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バトン⑦

 次の日、学校に行くと正面玄関にある展示ケースの中にはもう、銀賞の隣に銅賞のトロフィーが並べて置かれていた。

 輝くトロフィーを里沙ちゃんと眺めていると、瑞希先輩がやって来て私にもたれかかるようにして言った。

「今年は銅賞で悔しいと思ったけれど、こうして並んだトロフィーを見ると、私たち相当頑張ったんだなって自分を褒めたくなるね」

 たしかに瑞希先輩の言う通り、みんな頑張ったんだと思う。

 私は、それで十分満足だけど次に部長になる人は、それで満足できるのだろうか?

 そう思いながら、並んだトロフィーには目もくれず向こう側の階段を登ろうとしている江角君の姿を見ると、江角君もチラッと私のほうを向いて、いかにもクダラナイといった表情をして登って行く。

 江角君とは正反対に、マッサンやコバや田代先輩はトロフィーを見て大はしゃぎだった。

 授業が終わって部活動に向かう心は、少しだけ寂しく感じる。

 それは、全国大会も終わり三年生の役目が終わる日だから。

 一緒に練習し、色々教えてくれた上級生が居なくなるのは辛い。

 でも、県予選で敗退していたら、八月に。

 地区予選で敗退していたら、九月に終わっていた。

 全国大会の終わった今は、十月も終わり。

 去年に引き続き、一番長く私たちの傍に居てくれた。

 甲子園に出場する高校球児でも、八月に部活は終わる。

 大学受験を控えているのに、他の受験生よりスタートが遅れて大変だと思うけれど、ずっと一緒に居て欲しかった。


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