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再開⑨

「いつまで日本に居られるんですか?」

 一週間か二週間くらいだったら、私から名古屋に遊びに行ってもいいか聞こうと思って言うと、明日までと返事を返されてガッカリしてしい美樹さんに気を使わせてしまう駄目な私。

「そう言えば千春ちゃん、金曜日の十時半にロンと公園のベンチに居なかった?」

「えっ!?」

 美樹さんは丁度その時間に、兄と一緒に羽田から名古屋に向かう飛行機に乗っていて、飛行機の窓からふたりで私の家を探していた話をしてくれた。

「そしたらね、急に地上が近くに見えて公園に居る千春ちゃんとロンが、私たちの飛行機を見上げているのが見えたの。直ぐにお兄さんにも見てもらったら、そうかも知れないねって笑って言っていたけど、私にはふたりの姿がはっきり見えた気がしたの」

 信じられない。

 目の前に居るのは、長い栗毛色の髪の美樹さん。

 あの日、私が飛行機を見上げていて、目が合った飛行機の窓越しに見た女の人は美樹さんだったのだ。

「気がしたんじゃありません。私も見ました。飛行機の窓から私たちを見つけて隣に座る彼氏さんに話し掛けている仲の好いカップルを」

「すごい!屹度、ロンも見ていたわよね」

「ハイ。ロンも珍しく飛行機を見上げていました」

 人の行き交うホワイエのベンチで、しばらく話していると会場から江角君が出て来て、もうすぐ審査発表が始まるから中に入るように言われた。

 軽く挨拶をして、直ぐに会場内に戻った江角君を美樹さんは「彼氏?」と聞いてきたので違うと首を振る。

「じゃぁ、貰っちゃおうかな」

 急に変なことを言い出した美樹さんに、慌てて首を振ると笑われた。

「さっ、早く戻らないとダーリンに叱られるぞ」

「だから、違います」

 真っ赤になっている私を面白がって揶揄ってくる美樹さんに困っていると、出入り口から再び現れた江角君が「ほら、遅れるだろうが」と叱られ、私の手を引っ張って連れて行かれた。


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