表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
321/820

再開④

「だけど……」

「ここまで来て、ビビッてんじゃねーぞ!」

 突然響き渡った足立先輩の怒鳴り声に、凍り付くように一瞬静まり返るリハーサル室。

 足立先輩は堰を切ったように話す。

「正直言って、去年この大会に出れたのは鶴岡のおかげだ。そして今年出ることが出来たのも半分は鶴岡のおかげで、来年もまたここへ来るだろう。それは初めから鶴岡によって計画されたものだから」

“計画されたもの?”

“鶴岡部長によって?”

 唾を飲み込むことさえ躊躇わられるほど、みんな静かに足立先輩の話に聞き入った。

「鶴岡は部長になる前・いや、この青葉台に入る前から既に全国()大会()へ来ることを決めて、計画を練っていた。そして当時同じ中学三年生だった南、山下、私などを個人の分際で勧誘して来た。そして高校に入ってからは次に入学してくる生徒の勧誘、もちろん次の年も。こうして自分の音楽を継承してくれる仲間を増やすことによって、何年後かに金賞を獲ると言うのが鶴岡元部長の計画だった」

「なぜ、最初から金賞を狙わなかったのですか?」

 誰かが聞く。

 確かに、鶴岡部長なら狙えたかも知れない。

「おそらく、狙えるものだったら最初から狙いたかっただろうと思うよ。そのためにワザと内部分裂を起こさせたりして、技術とチームワークの向上を図ったりしていたし」

“木管大戦争”の時のことだ。

 あれも鶴岡部長の計画の中ってこと?

 質問に答えた後、足立先輩は諭すように言った。

「でも、たった一年や二年では狙えなかった。鶴岡部長は勿論、私たち卒業生もそれは分かっていた」

「今、このメンバーの力でどこまでいけるか。突っ走った先が去年の銀賞」

「来るべきしてここまで来たんだ」

「あとは結果なんて気にしないで胸を張って演奏しろ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ