古矢京子⑪
「三年前、横浜の交差点で中学二年生の女の子が車にひかれたの」
私と同じ歳の女の子がペットと散歩中、信号が青に変わった横断歩道を渡っているときに、信号無視して突っ込んできた乗用車にはねられて死亡した。
この事故は、運転していた男が当時問題になっていた携帯電話を運転中に操作していて、信号に気が付かずに交差点に進入して、若い命が奪われてしまった事を繰り返しニュースで話題にしていた。
事故の起きた横浜は神奈川県の県庁所在地のある市。
その神奈川県は人口も多いので、毎年事故の多いランキングでトップテンに入っている。
毎日のように事故のニュースは流れているけれど、この事故は今でもハッキリと覚えている。
それは、この同じ歳の女の子が犬と散歩中に事故に遭ったということに他ならない。
事故の事をほんの暫く思い出していたとき、古矢京子が放った言葉に驚かされた。
「姉なの」
「姉?」
「そうあの事故で亡くなったのは、私の双子の姉。そして連れていた柴犬のリョウも」
「もしかして、これは……」
口から離したリードを見て行った。
「そう。姉の物よ」
息がつまった。
そして、古矢京子は話を続けた。





