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古矢京子①

 会場に入ると既に多くの学校が来ていた。

 常連の強豪校ばかり。

 去年は憧れの眼差しで見ていた。

 でも、今年は違う。

 二年連続出場。

 ここまで来たことに満足している訳にはいかない。

 私が、周囲に集まっている同じ高校生を見ているのと同じように、他の高校生の何人かが私たちを見ていた。

 目の前を九州の常連、S女子校が通る。

 吹奏楽を携わっている中高生なら誰でも憧れてしまう、非常に高いレベルの超強豪校。

 通り過ぎると思って見ていたら、前が詰まったか何かあったのか、列が止った。

 そして、通り過ぎる列を見ているのは自然だけど、止まると不自然になる。

 隣にいるはずの里沙ちゃんとお喋りをしようと思って振り向くと、いない。

 さっき先生が、少しここで待つからお手洗いに行きたい人は行くように言っていたのを思い出す。

 首をもとあった方向に戻すと、まだS女子校の列は止まったまま。

 そしてその中に、私と同じように、こっちを見ている人がいた。

 こっちを見ている。と言うより、数人が私を見ている。

 自分の後ろにポスターか何か貼ってあるのかと思って、後ろを振り返るけど何も見るようなものはなく、ただの壁があるだけ。

 再び顔を戻すと、そのうちの一人と目が合った。 

 背丈は私と同じくらいの標準タイプで雰囲気は子供のようにも見えるし大人びても見える。

 同級生か下級生なのか、それとも上級生なのか、分かりにくいタイプ。

 一瞬、そんなことを考えていたら、その子が私のほうに向かって歩き出した。

 合った眼差しは少し横にずらしていて、今は私を見ていない。

 見ているのは私のほうだけ。

 うちの学校に誰か知り合いでもいるのだろうか?

 私も彼女のずらした視線のほうを振り向いた。


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