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名古屋国際会議場⑥

 いきなり里沙ちゃんが立ち上がって怒鳴った。

「高橋!会話の邪魔すんじゃねーぞ。話があるなら後で俺が聞いてやる!」

 何で里沙ちゃんが高橋さんの話を聞くのか、意味不明な所はあったけどソフトボールで鍛えたその声量は迫力があり過ぎて、高橋さんは唖然としていた。

 当然、ざわついていた場も静まり返る。

 里沙ちゃんは直ぐに周りの雰囲気が変わってしまった事に気が付いて、ニコニコしながらハッキリした声で、急に大きな声を出したことをみんなに謝ってから、高橋さんにも謝っていたけど、高橋さんは俯いたまま暫く黙っていた。

「スミマセン」

 微かな声が聞こえた。

 高橋さんの声だ。

 そう言うと高橋さんは席を立って部屋を出て行く。

 里沙ちゃんが追おうとするのを私が止めた。

「ゴメン、心配かけちゃって。私が行く」

 そう里沙ちゃんを制止して立つと、今度は今川さんが私を止める。

 なんで高橋さんとの会話に絡んでいなかった今川さんが止めるのか分からなくて聞くと「友達だから」と返事が返ってきた。

 その言葉に、私は快く今川さんにお願いすることに決める。

 スミマセンと謝って出て行く今川さん。

 入れ替わりに入ってきた江角君は、手に何か持っていた。

「なんか、あった?」

 さすがに 江角くんは、入って来るなり部屋や私たちの雰囲気が少しだけ違うことに気が付いて、私に何があったのか聞いてきたので起こったことをありのままに話す。

 話を聞いた江角君が「そうか」と呟いて部屋を出て行こうとしたとき、私は咄嗟にその手を掴んで止めてしまった。

 江角君は一瞬驚いた顔で私を見た。

 私も自分の行動に驚いて、その江角君の驚いた顔を見つめ返す。

「ドン!」

 胸の太鼓打ちが、ひときわ大きな音を鳴らし、そのまま盛り上げていくように緩やかに連打の強さを上げて来る。


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