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名古屋国際会議場④

 研修室で練習した後、楽器の手入れをして、それからお風呂に行った。

 温泉旅館ではないので共同浴場と言っても、それほど広くはなくて一度に入れるのは十人くらい。

 もちろんホテルなので部屋にも小さなバスルームが付いているから、共同浴場のほうは予約制にして仲の好いもの同士が班を作って割り当てられた時間に入る。

 私は部屋の小さなお風呂でも構わなかったのだけど、修学旅行に行っていないのを理由に里沙ちゃんから誘われて共同浴場に入ることになった。

 班は、いつものメンバーに今川さんと仲の好い同じ一年生の高橋さんを加えた六人。

 高橋さんはセルロイドの眼鏡をかけたセミロングでおとなしい感じの子で、よくアニメなんかに出て来る“眼鏡っ子”の雰囲気。ただし背は高くて一メートル七十センチ近くある。楽器の担当は大型の打楽器“ティンパニー”。

 髪と体を洗って湯船につかると、直ぐに里沙ちゃんが寄ってきた。

「一年ぶりだね」

 私が話すと里沙ちゃんが、本当なら半年ぶりのはずだったのにと、私が修学旅行に行けなかったことを残念がってくれた。

 お風呂で温まると、早起きして練習していた時からズーっと張り詰めていた気持ちが急に緩んで眠たくなってきた。

 眠くなるのと同時に、誰かに甘えたい気持ちも沸いて来て温まってボーっとした頭を里沙ちゃんの肩に掛ける。

 温かくて柔らかくて気持ち好い。

 私の正面に居た田代先輩が、それを囃し立てている声が、遠くの山から反射してくる‘こだま‘のように聞こえ、私は甘えた声で応えた。

「そろそろ出ないと、のぼせるよ」

 そう里沙ちゃんに言われて湯船から上がり、バスタオルで体を拭き髪を乾かす頃になっても私はまだボーっとしたまんま。

 完全に、のぼせてしまっていた。


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