ロンと、修学旅行⑥
夕食が終わり、お風呂から上がって二階に上がる時、ロンがズット居間に伏せをしているので声を掛けて階段を数段上がった時にロンが夕食を食べていないことに気が付いた。
皿の中には、与えたままのドッグフードがそのまま残っている。
そしてロンは私がお風呂に入る前から居間で伏せをしたまま動いていない事。
顔を上げず、顎まで床に付けたまま目だけ動かして私を見ている。
「ロン、どうしたの?」
頭を撫でたとき、心なしか少し体温が高い気がした。
久し振りに長い散歩をしたので疲れたのかな、と思いその場を後にしようとしたとき自分が明日からロンの世話ができない事に不安を感じた。
私は修学旅行のため四日間家にいない。
お父さんも平日だから会社だし、お母さんもパートに出て、兄は長期出張中。
家には独りぼっちのロンが居るだけ。
もしもロンの体に、なにかあって明日の昼頃に苦しみ出しても誰も診てあげる事は出来ないし、もし何かあったとしても私は帰ることも出来ない。
そして、この子はどんなに苦しくてもジッと我慢してしまう。
お母さんを呼んでロンの様子がおかしい事を説明して、直ぐにスワン動物病院に電話を掛けて症状を説明して家で何か対応できることがあるか聞いてみると、直ぐに診察するから連れて来るように言われた。
時間は夜の十時を過ぎている。
お父さんの運転する車に毛布に包んだロンを車に乗せるときお母さんが私に、明日から修学旅行だから家に残るように言ったけど断ってロンを抱いたまま後部座席に乗り込んだ。
暗い夜道、それほど遠くないはずの病院への道が曲がりくねった迷路のように私たちを邪魔しているように感じながら、さっきより息の荒くなっているロンを確りと抱きかかえていた。





