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ロンと、修学旅行④

 修学旅行のしおりを作る係りになった私は、放課後にツアー会社さんから頂いた旅行計画書をもとに、係りのメンバーと手分けして生徒みんなが興味を持って、そして役に立つように手を加えて作る。

 立ち寄る先の見所やトイレの場所。

 自由行動の時のお薦めコースや美味しいお店。

 定番から変わったものまで、色々なお土産物やグッズのお店。

 まるで私たちの旅行のために作られた旅行雑誌。

「鮎沢、ここ出来たから確認して」

「ハイ」

 ポンと原稿を渡して来たのは江角君。

 受け取った私は内容と誤字や誤変換などがないか確認する。

 こういう確認作業は、自分の物だけなら構わないけれど人の物となると妙に緊張してしまうので、本当なら一番やりたくない作業なのだけど校正を誰がするのか議題になった時に江角君に推薦されて決まってしまった。

 理由は現国が得意だから。

 確かに現国は好きで、それなりに得意と言える数少ない教科の一つではあるけれど、それを学年でトップクラスの江角君に言われると緊張してしまう。

「OKです。じゃあコバ、これ決定稿に移しておいて」

「らじゃ!」

 江角君から渡された原稿のチェックが終わると、それをコバに渡す。

「ねぇねぇ千春!このお店、雑誌のクーポン券持って行ったら割引してくれるんだけど、そのクーポン券をコピーして紙面に貼り付けるアイディアって良いと思わない!?」

「不正行為よ。却下!」

「もぉ~……ナイスアイディアだと思ったんだけどなぁ~」

 ウキウキした表情で私のところに来た里沙ちゃんが、トボトボと席に戻って行く。

「立木さん、そんならお店に直接電話かけて交渉してみたらどうです?」

「コバ、それナイス!これだったら良いでしょ!?」

 コバにアドバイスされた里沙ちゃんがブーメランのように勢いよく戻って来る。

「良いけど、リベートとか要求したら駄目よ」

「やったぁー!じゃあ紘太朗宜しくっス!!」

 里沙ちゃんが江角君の下の名前を呼び捨てにしたのでチラッと江角君に目を向けると、面倒くさそうに「鮎沢が了解したのならしょうがないな、でもそんくらい自分でやれよ」と言いながら私の顔を見た。

「やーだよ!」

 里沙ちゃんの声の後ろからは窓越しに吹奏楽部の練習の音。

 ところで、なんで各クラス1~2名の選出なのに、ここに吹奏楽部が四人も集まっているの???


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