出発⑨
直ぐに新年の挨拶になりますが、ここはケジメとして。
皆さま今年一年、読んで下さり誠に有難うございます。
七月より、ほぼ毎日書き続けており、正直書く(脳に栄養を送る)ために無理やり甘いものを食べたりして書きはじめた頃より8kgも太ってしまいました。
今年も新人賞には落選続きだったけど、宝くじだって買わなければ当たらないように、どんなに下手でも書き続けることで何かが変わる日が来るかも知れないと希望をもって頑張ります。
来年も、どうぞ宜しくお願いいたします。
皆様にとって来る年が良い年でありますように。
里沙ちゃんは悩み事を正直に話してくれたけど、その話を聞いて驚いてしまった。
里沙ちゃんの悩み事。
それは、恋の悩み。
里沙ちゃんが恋をしているなんて初めて知ったし、そしてその恋に悩んでいるなんて信じられなかった。
私でよかったら話を聞くと言うと、里沙ちゃんは「千春に聞いてもらいたい」と言ってくれて話を始めた。
里沙ちゃんの話によると、相手の男性とは中学時代からお付き合いしていて、最近その彼氏と進学について意見が対立しているらしい。
まあできるなら同じ大学に行きたいものね。と私が言うと、同じ大学の進学よりも里沙ちゃんが望んでいるのは結婚で、彼氏の意見は先ず大学に行くことで、そこで意見が分かれているのが悩みらしい。
同じ歳の里沙ちゃんから“結婚”と言う言葉が出たことに私はショックを受けていた。
だって、男の子とデートもしたことがない私なのに、里沙ちゃんは付き合っている彼氏さんと結婚を見据えたお付き合いをしていると言う事でしょ!
話を聞くと言った手前ではあるけれど、これでは時限が違い過ぎる。
大人の悩み事に、子供が口を挟む形になってしまう。
里沙ちゃんが言うには、その彼氏さんが大学進学を進めるのは屹度別れたいと思っているからに違いないと……大学での四年間のうち、もっと好い人が見つかるかも知れないと。
まさか!里沙ちゃんの彼氏さんは里沙ちゃんともう長い事付き合っているのだから、そんなことは思わないと私が言うと、
「彼は、私に彼よりももっと好きになる誰かが出来れば良いと考えているの」
「それって……」
「そう、別れたがっているのよ。直接口では言わないけれど」
「酷い!直接里沙に言わなくて、里沙がそう感じ取るように仕向けているなんて卑怯よ!」
口を挟まないつもりでいたのに、彼氏さんの卑怯な態度を想像してしまい、つい口に出してしまうと、私とは逆に里沙ちゃんが、彼の立場とか彼の周りの人の意見とか色々説明して擁護する。
なんか面倒くさい里沙ちゃんと彼氏さんの関係にウンザリしていると、里沙ちゃんのほうから、彼とチャンと話し合うからと一方的に話を切られた。
『も~!何なのよ!?』
その日の夜、ロンとの散歩中に里沙ちゃんの事を考えていた。
里沙ちゃんの相手って……マッサン?いや、マッサンは中学時代知らなかったから付き合えない。すると、相手は同じ中学出身?伊藤君?甲本君?それとも宮崎君がフタマタかけている??っと、これじゃあ主婦が昼に見るドロドロしたメロドラマだ……。
『江角君!?』
江角君の名前に引っ掛かって、思わず声を出しそうになった。
そう言えば高校一年の入学時以来、電車は里沙ちゃんが選んだ江角君の乗る車両。
私に告白しといて、チャッカリ里沙ちゃんとも付き合っているなんて、男子なんて最低!
そう思ってギューッとリードを握りしめると、ロンが止まって私の顔を見上げていた。





