出発⑦
新入部員たちは見学を終えると知らない間に居なくなってしまう。
しかし同じ中学の関係か、宮崎君と今川さんは二人そろって帰る時に挨拶に来てくれた。
そのうち日が西に傾き、私たちも部を終えて帰る。
暮れなずむ通学路を歩きながら、突然里沙ちゃんが思いもかけないことを言い出した。
「やっぱり、あの二人、出来てる」
「えっ?」
あの二人って誰の事?
出来てるって……。
「宮崎君と今川さんの二人よ」
「え~~っ!?」
驚いて私は後ろを歩いている江角君を振り返った。
江角君は、いかにも『くだらない』と言わんばかりの顔をして知らんぷり。
江角君の隣を歩いている小林君は
「二人って、今日の二人?」
と、誰かさんと違って話を合わせてくれる。
「でも、なんで?」
半信半疑の私が聞くと、中学時代吹奏楽部で三年、それにクラスも三年間一緒。
その二人が高校も揃って同じ高校に入り、一緒に入部届を出しに来て一緒に先輩に挨拶に来て、そして一緒に帰る。誰から見ても完全に付き合っているとしか見えないと言った。
その推理を驚きながら聞いていた私を、里沙ちゃんは更に驚かせる。
「でもね……あの二人、別れるよ」





