表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/820

前へ㉒

今回は犬の安楽死について書いています。

命の重さを慎重に扱いたいと思いながら書きました。

急に悲しい話となりますが今日明日と二回続けて足立先輩の飼っていたゴールデンレトリバーのミッキーの話にお付き合いください。

また、もしも体験談やご意見など有りました是非お願いします。

 今から二年前、ミッキーは癌のため僅か十歳でこの世を去った。

 十歳の誕生日の前に、癌検診を含めた健康診断をして結果も問題なく、家族みんなが安心してミッキーの誕生日祝いをしてミッキーも私たち家族もこれから先、まだまだ楽しい思い出を重ねて行くつもりでいた。

 それから僅か三ヶ月、ミッキーは偶に喉に物が詰まったような咳をはじめ、散歩中に吐くような事が何回か続いたので慌てて病院で診てもらい、喉の奥に出来た小さな疣を摘出し、病理検査の結果判明したのは癌だった。

 しかも、その時点で末期癌。

 僅か三ヶ月前に診察を受けたばかりなのに末期癌なんて考えられない。

 私たちはミッキーを連れて何軒も他の動物病院に行って検査を受け、血液検査、CT検査共に異常がなくホッとして、後で結果が出るMRI検査や病理検査で末期がんであると宣告されて打ちのめされる繰り返しだった。

 癌は既に転移しているので外科手術や放射線治療も施せず、唯一の望みは抗がん剤のみ。

 縋る思いで水素水やサプリメントなど、体に良いと言われることは試した。

 それでも、日に日にミッキーは弱って行き、後ろ足が利かなくなって散歩することも出来なくなり、皮膚は(ただ)れ毎日何回もアルカリ水で爛れた個所を拭いてやった。

 苦しそうな息をする日も多くなっていったが、それでもミッキーの名前を呼ぶとユラユラ尻尾を振ってくれ、それは彼がどんなに辛い時にも必ず頑張っている合図のように家族に返してくれていた。

 苦しい息と爛れる皮膚、そして唾液に交じる血。

 癌で軽くなってしまった体はボロボロで、抱えてしまうと壊れそうなくらいになってしまい、病院の先生が往診に来てくれるようになった。

 そして、その日の往診は病院の休みの日、夕方に家族が揃った時間だった。

 ミッキーは、もう家でも寝ているばかりになっていた。

 薬も、抗がん剤から鎮痛剤に変えられ、毎日の餌も食べなくなり先生が往診に来て点滴をして命を繋いでいる状態が続いていた。

 薬が効いているときは寝ているだけだけど、目が覚めると時折痛むのか鳴き声を上げたりする。

 学校から戻ったとき、先生の靴がまだ玄関にあるのを見て、ついにその日が来てしまったと思った。

 少し前にお母さんからミッキーの安楽死について相談されていたから……。

 私は何日か迷って、これでもうミッキーが苦しまずにすむのならと承諾し、そして今日その日が来たのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ