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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯


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千春の初恋①

 夏休みが終わり、日一日と涼しくなってきていて、いつの間にか蝉たちの大合唱は終わり、時折耳にするツクツクボウシが夏の面影をかすかに伝えていた。

 幾つかの台風が過ぎ空も高く濃い青色に澄んで、毎日続いた体育の授業を締めくくる行事が始まる。


 毎年九月最終の日曜日に行われる中学校の体育祭は、開催の可否の合図として朝七時に花火が上げられる。

 日中の花火なので花は咲かないけど音は本物だ。


 前日は雨でもなかったので、中止になることは考えられないのだけど、体操服に着替えてお弁当と水筒とタオルを入れた鞄を下げて玄関に待機している私にロンは満足そうに寄り添っている。


 ロンは薄着の私が特に好きみたい。(やっぱりエロだ)


 花火の音を合図に玄関を飛び出すと絶対勝てるって里沙ちゃんが言うので願をかけていた。


 ドン!ドン!


 花火の音が鳴った!

 いざ出発!!

 そう思って飛び出そうとして、ロンの様子がおかしいのに気が付いた。


 さっきまで元気だったのに花火の音に驚いて下駄箱の下の狭いスペースに潜り込んで震えていた。


「あれ?花火大会の夜、平気じゃなかった?」


 覗き込んで話しかけた私の鼻をロンはペロッとなめた。

 どうやら夏休みに行った花火の夜に、ロンは私が想像するよりもはるかに頑張ってくれていたらしい。


 私も頑張ってくるからね。

 と、ロンの鼻先にキスを返したけど、ロンはまだ怖がっていて余裕がなかった。


 初恋はまだだけど、ロンみたいに私のために頑張ってくれる人だったらいいな。


 ん!?


 ひょっとして私の初恋の相手って、もしかしてロン?

 いや、ロンの初恋の相手が私?


 どっち??

   ロンと千春

挿絵(By みてみん)

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