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木管大戦争㉚

 アンコールでの演奏が終わり、集まっていた人たちが返って行く。

 私たちは、感謝の気持ちを込めて手を振って見送っていた。

 宮崎君が、それに今川さんが手を振って講堂から出て行くのが見えた。

 出来るだけ一人一人の顔を記憶に留めておきたいと思って見ていると、その中に意外な人物を見つける。

『伊藤君!?』

 中学生でもなく、保護者でもない伊藤君が何故?

 ひょっとしたら弟さんか妹さんの付き添いで来たのかとも思ったけれど、それにしても学校はどうしたのだろう?

 伊藤君は直ぐに後ろ向きになり出口へと向かい出て行こうとしていて、その後ろにも出口に向かう沢山の人たちが多くいて直ぐに人の波に消えてしまいそう。

「里沙!あれ伊藤君じゃない?」

 伊藤君らしき人を指さして、隣にいた里沙ちゃんに聞いてみたけれど里沙ちゃんに見てもらったときには、人の波の中で既に判別もつかない状態だった。

 でも、里沙ちゃんは私の言うことを信じてくれて

「行ってみよう!」

 と言ってくれて私の手を握って走り出そうとした。

 そのとき、今まで静かに手を振っていた瑞希先輩に

「最後の一人が出るまで、感謝の気持ちを忘れちゃ駄目よ」

 と嗜まれ、私たちはその場に留まった。

 そして最後の一人が出て直ぐ、里沙ちゃんと校門に向かって走ったけれどもう伊藤君の姿はなかった。

 ひょっとしたら江角君が気が付いていたかもしれないと思って聞いてみたけれど、江角君からは「他人の空似じゃないの」と、相手にされなかった。


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