木管大戦争㉖
いよいよ結果発表。
壇上に上がった時、さっきまで居た人たちよりも観客が増えて、会場がいっぱいになっていることに驚いた。
この中には先程訪ねてくれた宮崎君や今川さんも居るのだろう。
そして来年入部届の列に加わる生徒たちや、来年の吹奏楽部のコンサートに訪れる父兄たちも……。
そう思うと、ただの聴衆と言う気がしなくて“仲間”のような気がしてくる。
拍手で出迎えられる中、そんな思いで観客席を見ていた。
オープニングと同じ生徒会の人が司会進行を務めて、いよいよ結果発表。
先ずは個人戦の結果が発表された。
個人戦一回戦、勝者……白組、鈴木さん。
個人戦二回戦、勝者……白組、斎藤さん。
ある程度予想はしていたものの、最初から二人続けて負けたのは正直キツイ。
特に二回戦で斎藤さんと対戦した里沙ちゃんは、ひいき目抜きに会場をわかせたので、ひょっとしたら勝てるかも知れないと楽しみにしていたのに残念だった。
そして、これから白組はコンクール入賞経験者が三人続く。
せめて瑞希先輩だけでも勝ってくれれば良いとだけ願っていた。
個人戦三回戦、勝者……紅組、増岡君。
それまで発表を聞いてパラパラと拍手していた観客席から「オーーーッ!!」と怒涛のように大きな感嘆の声と大きな拍手が広がった。
私たちは壇上で増岡先輩と握手して健闘を称えた。
増岡先輩が勝ってくれたおかげで、次の私の負けにより敗退が決まることはなくなり、瑞希先輩と団体戦で勝てば優勝決定戦に持ち込める。
私は、少しプレシャーを受けながらも少し安心して次の結果発表を待った。
個人戦四回戦、勝者……紅組、鮎沢さん。
まさか呼ばれることはないと思っていた自分の名前を呼ばれ、何故か急に胸から何かが込み上げてきて、私は手で顔を覆った。
観客席からは先程にも増して、大きな感嘆の声が上がり更に大きな拍手が広がる。
嬉しいのだか悲しいのだか分からない。
何故か涙が込み上げてきて止まらない。
里沙ちゃんが泣き崩れそうになる私を支えてくれて、頭を「よしよし」と撫でてくれる。
私は里沙ちゃんの胸の中にうずくまり、頭を撫でられることで徐々に落ち着きを取り戻すことができた。





