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木管大戦争⑱

 土曜日に行われる“戦争”の舞台は講堂。

 そして行事名も“木管大戦争”

 ではなくて“紅白吹奏楽大会・木管の部”

 って、言うことは“金管の部”とかもあるのかな?と思ったら、それは次回のお楽しみだそうだ。

 プログラムは、先ず紅白五人ずつのソロ演奏をして、そのあと木管五重奏をしてそれぞれの勝敗を決し、勝ち星が同点の場合は自由曲で決定戦を行うというもの。

個人戦の演奏順と曲目には決まりがなくて、決まっているのは木管五重奏の曲がライヒャの木管五重奏曲ホ短調op,88-1 1stと言う事だけ。

 ソロ。つまり個人戦は水曜日までに順番と曲目を書いた紙を鶴岡部長に渡す必要がある。これは鶴岡部長がピアノの伴奏を入れるための準備が必要なためで、決定戦用の曲は当日決めればいい。

 私たちは話し合ってプログラムを以下のように決めた。

一番、お~い!小林くん(ファゴット)曲「汽車ポッポ」

二番、里沙サックス曲「ルパン三世のテーマ」

三番、マッサン(クラリネット)曲「もののけ姫」

四番、千春オーボエ曲、天空の城ラピュタより「君をのせて」

五番、瑞希フルート曲「ハナミズキ」

 名前はアナウンスされるとき用の名前で、小林君は自分の名前に「お~い!」と呼び出しを付けて笑わせたけれど、さすがに“ふざけている”と鶴岡部長から怒られるかと思ったけれどスンナリ受け取ってもらえてホッとした。

 あとは決定戦用の曲選びだけど、これは考えておくだけで提出しなくてもいい。

 この決定戦用の曲は、決定戦にならなくても、勝利した場合の自由曲にも流用ができる。

 特に私たちのような短期間の即席メンバーの場合は、沢山の曲をチョイスすることは練習量が足らなくなるので避けたい。

 結局その日は決まらなくて、明日までに考えてくることになった。

 久し振りの部活で、帰りがスッカリ遅くなってしまいロンは待ちくたびれているだろう。

「ただいまー!」

 勢いよく玄関のドアを開けると“待ってました”とばかりにロンが飛び掛かって来る。

 本当は飛び掛からないように、そうした場合後ろ足を踏んで、しないように躾けるのだけれど私にだけしか飛び掛からないので、そのままにしている。待たされた分余計に大喜びしてくれるのは嬉しいけれど、それだけ私の事を待ち遠しく思ってくれているのに、これから先も同じ思いをさせてしまうことに切なくなり、玄関でいつまでもロンと遊んでいた。


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